プロジェクトが加速すればするほど、「立ち止まること」が難しくなっていきます。
スケジュールが詰まり、タスクが山積みになり、現場は次第に「こなす」ことが目的になっていく。
そんなときこそ、誰かが問いかけるべきです。
「今やってること、意味ありますか?」
この問いを発することができるかどうか。
その“空気”を作れるかどうか。
それは、PMとしての力量が問われる場面だと思います。
問いを封じる空気の正体
「意味ありますか?」という問いは、強烈です。
それを言うことは、「今やってることに意味がないかもしれない」と暗に示すことになる。
つまり、誰かの努力、方針、計画、方針決定の正当性に疑問符を投げかけることになる。
だから、多くの現場ではこの問いが言えない。
言えば「空気が読めない」「意識が低い」とレッテルを貼られかねない。
その結果、何も問われないまま、無意味な作業が積み上がっていく。。。
“立ち止まる力”は、余白から生まれる
PMがいつも忙しそうで、チームもパンパンの稼働状態で、
レビューもふりかえりもまともに機能していない現場では、
この「問い」はそもそも発生しません。
余白がないと、問いは生まれない。
だからこそ、PMの本質的な仕事とは、余白を生み出すことだと思うのです。
余白があることで、人は思考し、対話し、ズレに気づくことができる。
そして初めて、「今やってること、意味があるのか?」を問うことができるようになります。
意味を注入するのがPMの仕事
PMは、現場に「意味」を注入する役割でもあります。
- この作業は、何のためにあるのか?
- 今のタスクは、ゴールとどう繋がっているのか?
- チームの努力は、誰の価値につながっているのか?
こうした「意味づけ」をしないまま、稼働を強制するだけのマネジメントは、
もはや管理ですらありません。単なる搾取的な進行です。
余白を生み出し、意味を注入する。
それが、PMの仕事。
私は、そう考えています。
“意味ありますか?”と問われることを恐れない
PMにとって、この問いは怖いものです。
今進めていることに意味がない、と突きつけられるのですから。
でも、それを恐れてはいけない。むしろ歓迎すべきです。
なぜなら、この問いはプロジェクトの命綱だからです。
- ゴールが見失われていないか?
- 手段が目的化していないか?
- このまま続けるべきか?立ち止まるべきか?
こうした問いをチーム内で投げ合えることこそ、健全なプロジェクトの証なのです。
おわりに – チームに“問い”を許すPMであれ
プロジェクトの中で、“意味”はだんだんと風化していきます。
忙しさが、“考えること”を奪っていく。
だからこそ、PMの役割は、問いを保ち続けること。
自分でも問うし、チームにも問いを許す。
そして、そのための余白を設計し、対話の時間を設け、意味を編み直す。
「今やってること、意味ありますか?」
このシンプルな問いが飛び交う現場こそ、強く、柔軟で、持続可能なチームの条件だと私は思います。