プロジェクトマネージャーという職業は、目に見えづらい成果を扱います。
何を考え、どう判断し、どんなふうに周囲と関係を築いたか。
そうした行動の積み重ねがプロジェクトを動かしているにもかかわらず、
それらは往々にして、記録も評価もされません。

だからこそ今、PMには「書くこと」が求められていると思うのです。

信用経済とは何か?

「信用経済」とは、お金や肩書きではなく、「この人は信頼できるか」で価値が決まる時代のこと。
誰と働くか、どこで働くかを選ぶときに、過去のアウトプットや行動履歴が意思決定の基準になる。
いわば、「蓄積された信頼」が通貨のように機能していく時代です。

この信用は、「発信」「記録」「共有」によって少しずつ可視化されていきます。

なぜPMこそ「発信」すべきなのか?

PMの仕事は、ドキュメントやWBSだけでは伝えきれないものが多くあります。

  • 混乱した状況を、どう構造化したのか
  • 対立する関係者を、どう合意に導いたのか
  • 進め方に迷いが生じたとき、何をよりどころに判断したのか

こうしたプロセスの価値は、記録しなければ残りません。
そして、記録しなければ伝わりません。

だからこそ、自ら書き、発信することが重要なのです。

思考は、言語化してはじめて成立する

ここで強調しておきたいのは、人間は言語化をしてはじめて「考えた」と言えるということです。

「なんとなく思っている」は、思考ではありません。
「言語化できる」ことこそが、思考のはじまりであり、質の保証なのです。

PMという職業は、まさに思考の品質に依存する仕事です。

  • 状況を正確に把握する
  • 問題の本質を捉える
  • ステークホルダーの感情を読み解きながら、最適な選択肢を導く

そのすべてに必要なのは、「自分の思考を言葉にする力」です。

だからこそ、PMが書くことを避けてはいけないのです。
書くことは、考えること。
考えることは、プロジェクトのクオリティそのものに直結します。

ブログは信用を蓄積する装置になる

ブログを書くことで、次のような“副産物”も得られます。

  • 自分の仕事の言語化が進む(→ 思考が整理される)
  • 過去の自分と対話できる(→ 内省と成長の記録になる)
  • 自分が何者かを語れるようになる(→ 他者との共通言語ができる)
  • 共感してくれる仲間や読者が現れる(→ 越境のきっかけになる)

これらはすべて、「信用の土台」を形作るものです。

自立と信用はセットで育てる

PMにとって、会社だけに依存しない働き方を模索することは、もはや特別なことではありません。
むしろ、プロジェクト単位で働くという職能の特性上、「信用」こそがキャリアの土台になります。

だからこそ、自分の思考を記録し、他者と共有することが必要なのです。
肩書きや制度ではなく、「思考の透明度と一貫性」こそが信頼を生む時代に、
PMはもっと言葉を持つべきだと、私は思います。

おわりに – 書くことは、自分の仕事を引き受けること

「書くのが苦手」と言う人は多いです。
でも、それは自分の仕事を外に見せたことがないだけかもしれません。

仕事の中で考えていることを、自分の言葉で語る。
自分がどんな価値を発揮してきたのか、整理してみる。

それは、誰かに評価されるためだけでなく、
「自分が何を大事にして働いてきたか」を、自分自身に証明する行為です。

PMとして、プロジェクトを支える立場にあるからこそ、
言葉を持ち、記録し、共有していくことが、未来の信用を育てるのです。

書くことは、仕事の見えない価値を、未来の自分と他者に届ける方法です。
そしてその価値が、あなたの“信用”になります。